乳がんの多発地域である欧米

近年、といってもとくにこの一〜二年は、何かと乳がんが話題になつています。新聞、ラジオ、テレビ、雑誌等でもとりあげられることが多く、おそらく皆さんの中には身内や友人、同じ町内のなかに乳がんで手術を受けた方や、場合によっては亡くされた方も少くないことでしょう。

現在、乳がんの多発地域である欧米では、乳がん患者は日本の三〜四倍くらい多く、アメリカでは、女性一〇人に一人といわれていたのですが、最近は八人に一人もの女性が生涯乳がんにかかると報じられているほどにまでなつています。 日本女性ではそれほどまでになつていませんが、二五1二〇人に一人が乳がんになつています。

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日本でも乳がんがこのくらいに増加し社会問題になつていることを考えると、乳がんが増加している日本以上に、さらに増加を続けている欧米では、なぜこのように乳がんが多いのかと、国民的な不安事項というか、軽いヒステリー現象ともいえる状態になつているのです

羅患数、患者数

いままで、日本では乳がんが年々増えているといっても、実際にはそれほど極端に多いものではなく、欧米に比べれば女性の雁患率、死亡率ともに最下位に属する状態でした。

しかし増加は濃やかでも右肩上がりに常に増加を重ねて、患者数ではすでに胃がんを抜いていて、結腸がん (あるいはこれに直腸がんを加えて大腸がん)を首位七して第二位になっていると考えられます。

日本では全国的ながん届け出制度ができていないので、すでに患者届け出制度ができている大阪府(カバー率は八〇%とのこと) や宮城県のデータから推定するわけですが、少々不正確となり、はっきりとわかる死亡数に比べて発表が遅くなるのです。

 日本女性の乳がん

もし将来、がん届け出制度ができ上がったとしても、がんの診断の正確さや重複した届け出などの精度が問題となりましょう。

一九九九年発行の 『がん・統計自書』 (篠原出版) によりますと (図表1) 日本女性の乳がんの推定数は二〇〇五年で三万九〇〇〇人、二〇一五年で四万八二〇〇人としています。

一方、ほぼ正確と判断される乳がん死亡者数は現在一万人弱であり、現在の日本全体での乳がん手術後の一〇年生存率は八〇%強ですから、患者推定数は五万人弱、ということになって推定数とほぼ一致します。

二〇一五年時点では、雁息数第一位は結腸がん (大腸=結腸+直腸とすれば大差で第一位)、第二位は乳がん、次いで胃がん、肺がん、肝臓がんと続きます。死亡数でみると第一位は肺がん、第二位結腸がん、あるいは大腸がん、第三位胆道がん、第四位膵臓がん、五位胃がんに次いで六位乳がんとなつています。

すなわち乳がんは、雁患数は多いのですが治りやすいがんであるため、肺、肝、胆膵がんなどに比べて死亡数では少なくなつています。