一流アスリートの視力

私も日本のプロ野球やゴルフの選手、カーレーサー、競艇の選手などを指導してきましたが、その後の彼らの活躍には日を見張るものがあり、その効果には、実は私自身がびつくりしているところです。

視力眼科があるアメリカでは、なぜ、このような奇跡が起こるのでしょうか。ここまでお読みいただいたみなさんには、もうおわかりのことと思います。視力に対して脳が与える影響にいち早く気づき、視力を回復する技法がそのまま脳の力を開発することになったからです。

視力を「目から脳までのトータルプロセス」と考えるアメリカと、いまだに目の機能で決まると考えている日本。日本はアメリカと比べて三〇〜四〇年は研究が遅れているのではないかと思われます。

イチローの目にはこんな秘密があった
二〇〇九年に九年連続二〇〇安打を放って大リーグの新記録を打ち出したイチロl選手が、大リーガーでも打てないボールもヒットにできる素晴らしい目の持ち主であることは誰もが認めるところです。

イチロー選手の視力

しかし、実はイチロー選手の視力は、それほど強くはありません。オリックス時代にイチローの目のチェックをした田村知則氏によると、裸眼での視力検査では一・〇を切っているということです。

では、なぜ、イチロー選手は人並みはずれてボールが「見える」のでしょうか。
ここでまた、私たちは「視力」というものを考え直す必要があります。

視力といえば、日本人のほとんどの人が視力測定表の前に立ち、ランドルト環(C)を見ながら、右、左下、上……といった測定によって得られたデータを想像することでしょう。しかし、このようなプロセスで得られたデータはあくまで視力の一部であり、本質ではないのです。

静止視力

このような視力は「静止視力」と呼ばれています。
現在、このような測定法のみで視力としているのは、先進国では日本だけではないでしょうか。先ほど、アメリカでいう「視力」とは、「日から入った情報を脳が判断し、解釈し、行動に移すまでのトータルプロセスである」というお話をしました。

イチローは、このトータルプロセスがずば抜けて優れているのです。では、トータルプロセスの中で、具体的にはどのような視力の要素があるのか。とくにスポーツに必要な視力をご紹介しましょう。 「静止視力」‥一般的にみなさんが想像する視力のこと。どれだけ遠方まで見えるかという視力になります。

「動体視力」‥スピード、すなわち動いているものを把握する能力です。
「眼球運動」‥眼球が滑らかに動くか、移動できるかどうか。視点を移動させる能力ともいえます。
「調節とふくそう機能」‥ピントを合わせたり、目を寄せたり開いたりする能力です。
「深視力・立体視」‥距離を把握する視力です。きちんと両眼祝ができるか、脳の中で距離が把握できているか、といった能力です。

「視覚反応時問」‥見たものに対して素早く反応して適切な行動を起こすことができるかどうかの能力です。 「目と手の共同作業」‥日で見て、それを脳が解釈し、体の動きに表現するまでのスピードです。